▼ 2014/07/29(火) 第322回8月2日放送
■入選句
題『洗う』物干し場孫たち揃う夏休み 喜明
夏ばての心を洗う木陰風 無球
洗っても落ちぬ移り香名残り惜し としや
洗い浚い言ってしまって目のやり場 朝子
雑巾も働いたあと汗流す 葵
二人居て愚痴は言うまい碗洗う かほる
よこしまな心を洗い前を向く 益弘
題『自由吟』
夏が来たピチピチギャルに巻き戻し めぐ
お日様は影の努力を見逃さず 英樹
■楽々川柳
『七七五、破調の句』について川柳の定型は『五七五』ですが、破調の句というのが二種類あります。
①『八九』または『九八』で構成し、全部で十七音字になる句。
②『五七五』の真ん中の七音(中七と言います)と、最後の五音(下五
と言います)は守って、最初の五音(上五と言います)については、六音、
七音になっても良い。
①の場合は十七音字で収まっていますが、②の場合は十八音、十九
音となります。良いのでしょうか?
どうしても、という場合、そして、文字数を増やした事によってもリズム
が狂わない、という事が条件になって来ます。
ですから、初心者の時は定形を守り、川柳の基礎を身につける事が
大切と言えます。言葉を探し、定形の『五七五』にまとめ上げる事は、
川柳の醍醐味とも言えます。
破調の句に出会ったら、その句が入選している場合、声に出して句と
リズムを味わってみるのも良いでしょう。
言葉を駆使して定形を守って句を作る、破調ではあるけれどリズムよ
く納得させる句を作る。どちらも川柳ですから、慣れてきたら、いろいろ
作ってみるのが楽しいと思います。
ブログのコメント欄でのご質問でした!
ありがとうございました!!!
■選者の一句
穂肥して素直に育つ稲をほめ 正明☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句降るかなあ出かける前の靴選び
この梅雨の季節にタイムリーな句だと思います。
天気予報が、一時雨とか降水確率30%、40%とかの時、迷いますね!
余所行きの服を着るのも迷いますが、そこそこの服を選んだとしても、そ
の服に合わせた靴を選ぶと『コレ』だけど、なんか降ってきそうなのに濡ら
したくない…汚したくない靴…。だからと言って、この服にこの靴も合わない
し…などと、玄関口で迷って空を何度も見上げてる光景が浮かびます!
日常を詠った、実感できる佳句だと思います!
▼ 2014/07/29(火) 第321回7月26日放送
*特選句
自己主張匂いを運ぶ栗の花 寿
自己主張匂いを運ぶ栗の花 寿
■入選句
題『運ぶ』朝の靴今日一日を運び出す あつ子
老いの道まだまだ先へ運ぶもの 無球
君の為の笑顔運んで走らせる 朝子
蜜の味運ぶ蜂にもある主張 なごみ
公園のじゃんけん運ぶ日暮前 葵
ただいまと父母の墓まで足運ぶ かほる
題『自由吟』
めがね違い悔いても遅い五十年 としや
胸を貸せとは言えません女性には 敏晴
戯れ言がつづいて雨の部屋ひとり 喜明
■川柳ヒストリー
戦争を知らぬ九条も知らぬ子ら 賢爺ある川柳誌の今年6月号、時事川柳欄からの句です。
『戦争を知らない子』は、度々使われてきた言葉ですが、『九条も知ら
ない子』は、平和な六十年余りの間に醸成された言葉と言えるでしょう。
毎年五月三日は憲法記念日ですが、憲法で何が定められているか、
基本的人権として何が守られているか。
『憲法九条』は、『戦争の放棄と戦力の否認』です。
恒久の国際平和を実現するために戦争と武力による威嚇または武力
の行使を放棄する事、陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権
を否認する事を定めています。
世界で初めての規定となり、外国の政治家、学者の承知する憲法です。
川柳は、文芸として人間を詠む反面、社会を詠む事も求められている
のではないでしょうか。
■選者の一句
島四つ潮騒連れて復帰の日 正明☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『自己主張匂いを運ぶ栗の花』
文芸川柳です。
栗の花は白く、強い香りではないそうです。
そんな栗の花が、風の具合か、ふわりと匂って来た様子を詠まれたの
でしょう。また、白い花を咲かせている栗の木の下を通った時、少し遅れ
てふわりと匂う時もあるそうです。
強くない香りが、それでも此処に居ます、とばかりに秘かに自己主張し
ている…。なんとも奥ゆかしくて素敵な句ですね!!!
私は栗の花が咲いている様子を知らないので、嗅いでみたいと思いま
した。
はっとした一瞬を詠まれた水彩画のような一句だと思いました。
▼ 2014/07/29(火) 第320回7月19日放送
■入選句
題『 運ぶ 』宅配の汗に滲んだ若い靴 なごみ
どんぶりこ時間が運ぶ玉手箱 めぐ
時代劇裏に回って運ぶ金 清香
好いものは運んで来ない偏西風 敏晴
年ごとに風が運んだらしい花 重子
病む母を軽々移す孫の腕 氷筆
題『自由吟』
初夏なのにお出かけ用の靴がない 佐知
夫とて心の底は見せません 節城
主役誰犬の散歩に抱っこして 寿
■江戸川柳
百人のすけで七夕早くなり文化2年(1805年)『柳多留31篇』の句です。
七夕祭の笹に短冊を吊るす風習は今に伝わっていますが、当時は自
作の和歌を短冊に書いていました。しかし、和歌を作る事が苦手な人は、
百人のすけ、これは『百人一首』の事です、つまり、『百人一首』の和歌
を選んで短冊に書く人が増えたので七夕の準備が早くなった、という事
を詠った川柳です。
当時を知る、楽しい一句です。
また、江戸の初期から中期にかけて京の都では町娘が七夕の祭礼で
踊った『七夕踊り』が『盆踊り』のはじめとも言われているそうです。
■選者の一句
移る世に格差社会が待っている 正明☆8月のお題は『洗う』 7月末日が締切りです。
☆9月のお題は『遠い』 8月末日が締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『新天地夢も一緒に連れてきた』
広辞苑に書かれている『新天地』の意味は『その人にとって新しい
天地。これから切り開いていく新しい世界。』と、ありました。
この句の場合も、越してきた新しい土地を指すのではなく、『切り開
いていく新しい世界』、それはお仕事かもしれないし趣味の世界かも
知れませんが、新しい事を始める事への希望に燃えた一句のような
気がしました。
『夢も一緒に連れてきた』とても前向きでワクワクします!思わず空
を見上げてしまいそうな素敵な一句です!
▼ 2014/07/29(火) 第319回7月12日放送
■入選句
題『布団』順番を違えず子らに親ツバメ はるママ
知らぬ間にあなたの傍に運ばれて 佐知
必着で届ける便はプロポーズ としや
給料の明細だけを運ばされ 英明
それぞれのドラマ運んでバス走る あつ子
先人の知恵が運んだ巨大石 益弘
しあわせを小さく分けて運ぶ蟻 おーちゃん
題『自由吟』
原色のままを通してまだ独り 重子
ほどほどの余白作って夫婦愛 無球
■楽々川柳
『一字空け』について川柳を投句する場合、基本は字の間隔を空けないで詰めて記入します。
私の句を例にしますが、例えば『ざるで受け氷を三つ初夏の味』と書いて出
句します。『ざるで受け 氷を三つ 初夏の味』とは書きません。
また、『カーテンに透けて明るく弾む声』の場合、
『カーテンに透けて 明るく弾む声』としたい気もしますが、基本は詰めて書
きます。(この句の場合は空ける必要なないですが!)(^_^;)
しかし、あくまでも基本です。実際、テクニックとして『一字空け』されている
方もおられるし、句は自己主張でもあるので、どうしても、こう読んで欲しい、
この五字を強調したい!という場合は、一字空けされる方もいます。
基本は詰めて書く、しかし、どうしても、という場合は『一字空け』は許容範囲
という事になると思います。
ただし、基本重視の大会もあるので、入選句として発表された時、詰めて書
かれた状態で活字になる場合もあると思います。
■選者の一句
眠るまで降り止まないで欲しい雨 敏子☆8月のお題は『洗う』 7月末日締切りです。
☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句我が家には無い個人的自衛権
今の世相を取り入れて、ユーモアのある川柳ですね。
『集団的自衛権』については重く、論議の絶えない内容ですが、川柳人の
手に掛かると軽みとユーモアで、フッと笑える川柳になるのだなあと思いま
した。
『女系家族?』なんて思ってしまいましたが、つい反射的に『言い返してし
まった』り、言い訳しようものなら…(^_^;)
我が家には『自衛権』なんて無いんです!と、訴えられています。
今の言葉を上手に取り入れて、でも、川柳っぽく軽みとユーモアのある楽
い一句です。楽しいですけど、わはは、でなく、いろいろ含みを感じて、なお
クスリと笑えるのがお上手だなあと感心しました。
▼ 2014/07/29(火) 第318回7月5日放送
■入選句
題『運ぶ』伝書鳩幸せ運びクックックッ 清香
倦怠期離婚用紙が往き来する 節城
幸せな風を運んだブーメラン 喜明
お茶運ぶお盆が客を仕分けする 英樹
この種を持ってあなたを咲かせなさい 葵
運筆のかすれ具合の奥ゆかし 氷筆
題『自由吟』
探し物忘れた頃に出る不思議 かほる
時は金ならばオイラも大富豪 幸二
父の文捨てられもせずそっとなで 瑠璃子
■楽々川柳
お便りコーナー寄せて頂いたお便りを時間の限り紹介させて頂きました。
楽しいお便り、川柳の事、近況報告、励ましの言葉、本当に嬉しいです。
『川柳広場』楽しんで頂けて、嬉しいです!!!
また、川柳に関する疑問・質問を受け付けています。
こんなこと、聞いて良いのかしら?って思われる事も本当はとっても新鮮
な事だったりします。
私たちも勉強になります、どしどしお寄せ下さい!(#^.^#)
■選者の一句
夢を見る父と息子のコクピット 夏牛☆8月のお題は『洗う』 7月末日締切りです。
☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『震災の忘れられない水運び』
来年、阪神淡路大震災二十周年です。
今もその時の話をすると昨日の事のように皆、話します。断片的ですが、
強烈に刻まれた記憶は薄れる事がないのです。
『忘れられない水運び』
経験のない人には何の事だろう?と、思われるかも知れません。私自身、
三木市在住でしたから震度5で、もの凄く揺れましたが、水道やガス、電気
が止まるという事はありませんでした。ですから、ピンと来なかったのです
が、敏子さんは神戸市に住まわれていて、この句を読み、『当時の事、いろ
んな事を思い出す』と言われました。
『水運び』とは、配給車から水を貰って自宅に運んだ、という震災後の日々
の出来事です。皆で並んで水を配給してもらい、真冬の寒さの中、重い水
を懸命に運んだ、というのです。
当事者にとって、色褪せない時事川柳です。語り継がれるべき川柳なの
でしょう。
▼ 2014/07/29(火) 第317回6月28日放送
*特選句
安眠へ布団の歴史まだ続く めぐ
安眠へ布団の歴史まだ続く めぐ
■入選句
題『布団』陽に干して夕べの悪夢パンと打つ 朝子
お布団をかぶれば明日が見えてくる 重子
お昼寝に掛けた布団は おかあさん 清香
泣くために布団があると思う夜 葵
太陽に香りもらった布団着る あつ子
人待ち顔して縁側のお座布団 はるママ
題『自由吟』
ちらちらと女を見せる春一番 としや
毛虫でも若葉を餌に空を舞い 寿
豆御飯初物供え亡夫思う 瑠璃子
■川柳ヒストリー
新酒受くうたのこころに漂うか 去来川巨城(イサガワキョジョウ)ふあうすと川柳社の主幹を11年務め、会長に就任された去来川巨城
(イサガワ キョジョウ)の川柳です。ふあうすと川柳社刊行の句集『さんれい
抄』があります。
この句は『さんれい抄』の序文の前のページに載せられています。
「この冬、仕込んだ新酒の、市中に出回る頃に、その酒を頂く。詩の心
は、どう受けとめたか。酒はゆっくりと詩人の心に溶けてゆくだろう」と詠
まれた詩情豊かな句です。
『さんれい抄』序文には、『川柳は明治に新しく興った短詩文芸である、
云々』とし、短詩文芸としての完成に従事し、川柳作家としての気概を述
べ、 『川柳の名を冠する限り、初代川柳点、柳多留作品の持つ真の精
神が何であるかを解明し得るまでに研究することが川柳作家たる者の
務めである』 と書き記しています。
■選者の一句
時鳥四方響かせている田植 正明☆8月のお題は『洗う』 7月末日締切です。
☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切です。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『安眠へ布団の歴史まだ続く』
布団の歴史、布団は打ち直しをしたりして大切に、大切に、受け継がれ
て行くものなのでしょう。かつては着物を解いて布団を作ったのだと聞き
ました。
私は布団の打ち直しを実感として持っておらず、古くなったら買い換える
物だと思っていました。でも、そう言えば私が結婚した時、父が持たせてく
れた布団は今も使っています。陽に干せばふっくらとして、傷んだら買い
換える布団とは意識が違います。
安眠を約束してくれる、その布団の歴史は続いていくのでしょう。
『布団』の事を考えさせられた一句でした。
1: 蟹さん 2014年10月01日(水) 午前9時08分
更新がちい~っと亀さんかな。そう思うのは、せっかち兎だからでしょうか?みなさんは?
2: 桔理子 2014年10月01日(水) 午後2時44分
蟹 さま
本当に申し訳ありません!!!
心を入れ替えて、こうしてブログを閲覧して下さっている皆様に感謝とお詫びを!!!
すみません!!!
頑張ります!これからも宜しくお願い致します!m(__)m