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2014/07/29(火) 第321回7月26日放送

*特選句 

     自己主張匂いを運ぶ栗の花               寿

入選句

題『運ぶ』
     朝の靴今日一日を運び出す               あつ子
     老いの道まだまだ先へ運ぶもの              無球
     君の為の笑顔運んで走らせる               朝子
     蜜の味運ぶ蜂にもある主張                なごみ
     公園のじゃんけん運ぶ日暮前                 葵
     ただいまと父母の墓まで足運ぶ             かほる

題『自由吟』
     めがね違い悔いても遅い五十年             としや
     胸を貸せとは言えません女性には             敏晴
     戯れ言がつづいて雨の部屋ひとり             喜明


川柳ヒストリー

     戦争を知らぬ九条も知らぬ子ら          賢爺

    ある川柳誌の今年6月号、時事川柳欄からの句です。
    『戦争を知らない子』は、度々使われてきた言葉ですが、『九条も知ら
   ない子』は、平和な六十年余りの間に醸成された言葉と言えるでしょう。
    毎年五月三日は憲法記念日ですが、憲法で何が定められているか、
   基本的人権として何が守られているか。
    『憲法九条』は、『戦争の放棄と戦力の否認』です。
    恒久の国際平和を実現するために戦争と武力による威嚇または武力
   の行使を放棄する事、陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権
   を否認する事を定めています。
    世界で初めての規定となり、外国の政治家、学者の承知する憲法です。

    川柳は、文芸として人間を詠む反面、社会を詠む事も求められている
   のではないでしょうか。 
          

選者の一句

    島四つ潮騒連れて復帰の日             正明

 

    ☆9月のお題は『遠い』           8月末日締切りです。
    ☆10月のお題は『とことこ』        9月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



   今回の特選句『自己主張匂いを運ぶ栗の花』

    文芸川柳です。
    栗の花は白く、強い香りではないそうです。

    そんな栗の花が、風の具合か、ふわりと匂って来た様子を詠まれたの
   でしょう。また、白い花を咲かせている栗の木の下を通った時、少し遅れ
   てふわりと匂う時もあるそうです。

    強くない香りが、それでも此処に居ます、とばかりに秘かに自己主張し
   ている…。なんとも奥ゆかしくて素敵な句ですね!!!
    私は栗の花が咲いている様子を知らないので、嗅いでみたいと思いま
   した。

    はっとした一瞬を詠まれた水彩画のような一句だと思いました。