▼ 2014/10/01(水) 第323回8月9日放送
■入選句
題『洗う』満天の星に五欲を洗われる 英樹
何時の間に食事のあとは俺の役 行兵衛
初孫をコワゴワ洗う母の顔 瑠璃子
泥洗い明日も跳ねる靴を干し なごみ
シャンプーは豆粒ほどで足りる髪 益弘
手を合わすたびに洗っているココロ 英明
題『自由吟』
筋トレに弾む熟女の良い笑顔 かほる
病窓の雨を見ている余命表 喜明
湯壺から四方眺めて願いあり 翔空
■川柳ヒストリー
仲よしにそろそろわかる貧富の差 波濤出典は、昭和38年10月、『番傘川柳一万句集/創元社』です。
何時の時代でも、そうだ、そうだ、子供だって気付くことだ。と、子供の
世界を詠まれた川柳です。昭和の半ば頃の句、と紹介されています。
子どもの世界だって難しいものがあります。仲よしだった友達との間
にも徐々に生活空間の違いを知る時が来ます。
貧富の差の自覚、ですから、貧乏である子がお金持ちの子を羨ましく
思った、と、とらえても良いと思いますが、裕福な家の子が、今まで親し
くしていた友達から、金持ちの子と疎まれたり敬遠されたりして孤独で
寂しい、と受け取る事も出来ます。
川柳ならではの人間を詠んだ胸の痛むような一句だと思います。
■選者の一句
ひまわりの迷路でスーッと醒めた夢 敏子☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『洗い髪 鏡の私若くなれ』
思わず共感してしまいました!お風呂上がりの鏡はちょっぴり『魔法の鏡』
です。顔色も良くて、スッキリしていて若くなった感じ!そして、洗い髪も手伝
って何となくイイ感じです。
思わず『若くなれ!』って呟いてしまう。いじらしい(んですよ、女は何時まで
も!)女心を詠まれた秀句です。ちょっぴり切ないような、でも可愛い一句だと
思いました。
川柳ならではのリズムも良くて、さらりと詠んで共感し、う~ん、とつい鏡を
見てしまうような句ですね!