▼ 2014/10/01(水) 第324回8月16日放送
■入選句
題『 洗う 』百選の水でおらがの芋洗う なごみ
わだつみのこえがこころのさび洗う おーちゃん
孫の目が洗う入れ歯を不思議がる 敏晴
補欠の子次は活躍靴洗う 有子
もう一度心を洗う月青く 喜明
足洗うそんな事などしてはダメ! 清香
題『自由吟』
ジーンズの穴から大声でる暑さ 無球
号泣が地方議会に流れ弾 節城
役もらい元気ももらう七十路から 寿
■江戸川柳
伯父が来てとかく他人のめしという明和8年(1771年)、柳多留6篇の川柳です。
この『他人のめし』とは、親元を離れずにいつまでも一緒に暮らしている
と、人間が甘えてしまって一人前にならないから、どこか奉公勤めをせよ、
という意味で、江戸川柳は、時代を超えて、多くの類句がみられます。
この句の鑑賞は、現代にも当てはまるでしょう。
現代であれば外国という選択肢も加わってくるのかもしれません。
■選者の一句
切手にはうさぎが跳ねる雨の午後 ヨシヱ☆9月のお題は『遠い』 8月末日が締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日が締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『髪の毛を洗えば五本さっと逃げ』
川柳の三要素と言われる『穿ち』 『ユーモア』 『軽み』、この句は、
『ユーモア』そして『軽み』の句と言えると思います。
髪の毛を洗って、シャンプーを流したら髪の毛が五本、サッと流れ
ていってしまった…五本、という、僅かな本数も何だか可笑しく、加えて
何とも笑えるのが『サッと逃げ』という表現ですね!
『逃げた』と言われているので、『あ、待て、待て!』という気持ちや
『あ、流れてしまった』…と、見つめている様子とか見える気がします。
どちらにしてももう、元には戻らないのだけど。
クスリと笑える川柳らしい一句だと思います。