▼ 2014/10/01(水) 第325回8月23日放送
■入選句
題『洗う』好きな服洗って洗ってまだ着ます めぐ
忘れようさぶさぶさぶと飛沫あげ 葵
流木を洗う 仏が顔を出す おーちゃん
夕立に洗い流して欲しい罪 無球
退院し我が家の風呂でゴシゴシと 瑠璃子
わだかまり洗い流して空仰ぐ かほる
題『自由吟』
解毒剤のんで同居を楽しみに 重子
孝行をよってたかってされて喜寿 敏晴
鳳仙花植えもせぬのに庭埋める としや
■川柳ヒストリー
大正っ児古い子守の唄で寝ず 小尺一(コシャクイチ)大正5年11月、読売新聞『よみうり時事川柳』。選者は、井上剣花坊です。
生活様式が変わり、社会が大きく変わる時代の川柳で、新時代への希望
が明るく楽しく詠まれています。
川柳の解釈は『大正生まれの二、三歳児を寝かすのに親や祖父母の時
代から伝わる子守唄では寝つかない。蓄音機という新しい音の世界がある
のだ。幼児でさえ、その音に親しんでいる。』
大正時代の初頭は蓄音機が大流行し、子守唄でさえも蓄音機で聞かせま
しょう、と謳われたのだそうです。
新しい文化の時代を謳歌した一句でしょう。
■選者の一句
小六の孫と戦争写真集 正明☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『雨はいい 心も垢も洗うから』
雨、といえば、鬱陶しいものです。洗濯物は乾かないし(主婦ですから!)、
傘はささないといけないし、それでも洋服は濡れるし靴も汚れる…、でも、こ
の句の作者は『雨はいい』と言うのです。
なぜなら…。
『心も垢も洗うから』
ふと、雨上がりの情景を思い浮かべました。雨上がりの清々しさ。街も家々
も草花も庭も、違って見えます。
雨が降って、心の中も、目に見える世界の汚れも洗い流してくれる。証拠
に、雨上がりは美しい…。
雨の鬱陶しさと、雨上がりの晴れ晴れした情景の浮かんでくる佳句だと思
います。
▼ 2014/10/01(水) 第324回8月16日放送
■入選句
題『 洗う 』百選の水でおらがの芋洗う なごみ
わだつみのこえがこころのさび洗う おーちゃん
孫の目が洗う入れ歯を不思議がる 敏晴
補欠の子次は活躍靴洗う 有子
もう一度心を洗う月青く 喜明
足洗うそんな事などしてはダメ! 清香
題『自由吟』
ジーンズの穴から大声でる暑さ 無球
号泣が地方議会に流れ弾 節城
役もらい元気ももらう七十路から 寿
■江戸川柳
伯父が来てとかく他人のめしという明和8年(1771年)、柳多留6篇の川柳です。
この『他人のめし』とは、親元を離れずにいつまでも一緒に暮らしている
と、人間が甘えてしまって一人前にならないから、どこか奉公勤めをせよ、
という意味で、江戸川柳は、時代を超えて、多くの類句がみられます。
この句の鑑賞は、現代にも当てはまるでしょう。
現代であれば外国という選択肢も加わってくるのかもしれません。
■選者の一句
切手にはうさぎが跳ねる雨の午後 ヨシヱ☆9月のお題は『遠い』 8月末日が締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日が締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『髪の毛を洗えば五本さっと逃げ』
川柳の三要素と言われる『穿ち』 『ユーモア』 『軽み』、この句は、
『ユーモア』そして『軽み』の句と言えると思います。
髪の毛を洗って、シャンプーを流したら髪の毛が五本、サッと流れ
ていってしまった…五本、という、僅かな本数も何だか可笑しく、加えて
何とも笑えるのが『サッと逃げ』という表現ですね!
『逃げた』と言われているので、『あ、待て、待て!』という気持ちや
『あ、流れてしまった』…と、見つめている様子とか見える気がします。
どちらにしてももう、元には戻らないのだけど。
クスリと笑える川柳らしい一句だと思います。
▼ 2014/10/01(水) 第323回8月9日放送
■入選句
題『洗う』満天の星に五欲を洗われる 英樹
何時の間に食事のあとは俺の役 行兵衛
初孫をコワゴワ洗う母の顔 瑠璃子
泥洗い明日も跳ねる靴を干し なごみ
シャンプーは豆粒ほどで足りる髪 益弘
手を合わすたびに洗っているココロ 英明
題『自由吟』
筋トレに弾む熟女の良い笑顔 かほる
病窓の雨を見ている余命表 喜明
湯壺から四方眺めて願いあり 翔空
■川柳ヒストリー
仲よしにそろそろわかる貧富の差 波濤出典は、昭和38年10月、『番傘川柳一万句集/創元社』です。
何時の時代でも、そうだ、そうだ、子供だって気付くことだ。と、子供の
世界を詠まれた川柳です。昭和の半ば頃の句、と紹介されています。
子どもの世界だって難しいものがあります。仲よしだった友達との間
にも徐々に生活空間の違いを知る時が来ます。
貧富の差の自覚、ですから、貧乏である子がお金持ちの子を羨ましく
思った、と、とらえても良いと思いますが、裕福な家の子が、今まで親し
くしていた友達から、金持ちの子と疎まれたり敬遠されたりして孤独で
寂しい、と受け取る事も出来ます。
川柳ならではの人間を詠んだ胸の痛むような一句だと思います。
■選者の一句
ひまわりの迷路でスーッと醒めた夢 敏子☆9月のお題は『遠い』 8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『洗い髪 鏡の私若くなれ』
思わず共感してしまいました!お風呂上がりの鏡はちょっぴり『魔法の鏡』
です。顔色も良くて、スッキリしていて若くなった感じ!そして、洗い髪も手伝
って何となくイイ感じです。
思わず『若くなれ!』って呟いてしまう。いじらしい(んですよ、女は何時まで
も!)女心を詠まれた秀句です。ちょっぴり切ないような、でも可愛い一句だと
思いました。
川柳ならではのリズムも良くて、さらりと詠んで共感し、う~ん、とつい鏡を
見てしまうような句ですね!
1: 川柳ファン 2014年10月02日(木) 午後9時52分
☆9月のお題は『遠い』8月末日締切りです。
☆10月のお題は『とことこ』9月末日締切りです。
そして・・・?