■入選句
題『 残す 』 道造り残る予算で掘り返す 幸二
食べ残すことなど飢餓に見せられぬ なごみ
残り火が燻ぶり始め夜の雨 千恵子
ローンだけ残して逝った父恋し 野薫
古稀の春まだやり残すものがある 英樹
飢えに泣いた日を知りつつも食べ残す すみえ
残り香を問い詰められる午前様 敏晴
題『自由吟』
虹溶かし汚れた地球塗り直す はな
落葉掃き満喫出来た紅葉を 瑠璃子
■江戸川柳
陰ぜんの雑煮はよほどひどい借り江戸川柳の前に、『陰膳』の説明です。
古く、江戸時代以前から行われていた風習で、『旅などに出
て、家を長く離れている人が、食べ物に困らず無事を祈って
留守宅で供える食事』の事です。
明治7年(1770年)『川柳評万句合』の中の川柳です。
当時は、貸借の清算は大晦日にする、年が明けると、お盆前
にする、という風習があり、そのように為されて、現代から考え
ると大らかな時代でした。
ですから、借金の返済の出来ない人は大晦日の前から姿を
消して、正月の朝は『陰膳』のお雑煮を供えてもらう、という事に
なり、その事を詠んだ川柳です。
当時は連帯保証人の考えは無く、家族が払う、という事は無
かったようです。しかし、『よほどひどい借り』は真実で、借金の
ある人がお参りする場所があったそうです。
逃げている本人も家族も大変だったでしょうが、世知辛い今
の世相からみると、どこかほのぼのとした印象を持つ句ですね。
■選者の一句
やみくもに歩く 哀しみ解けぬまま ヨシヱ☆2月のお題は『匂い』 1月末日締切りです。
☆3月のお題は『魚』 2月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『残り香に酔ってあしたは別の顔』
この『残り香』は、何を意味するのでしょうか?
読む人に委ねられていますね!私などはすぐ『恋???』と
思って燥いだのですが、それだけではなく、『良い事があった』
『楽しい一日だった』 『美術館や映画などで心を満たした』……
等々、様々な『残り香』がありますね。
はあああ、そうかぁ、と、深く読めない自分に凹みましたが、
そんな想いも今夜まで、明日は現実に引き戻されて本来の顔
に戻る。といった意味合いの句のように思いました。
違うかもしれませんが(^_^;)
深いなぁ、味わい深いなぁ、と思いました。
『あしたは』が、平仮名です。明日は、とも、朝も、あした、と読
めるので、限定されなかったのかな、と、思いました。
1: ようこそ川柳広場へ 『ご投句、ありがとうございま~す!(#^.^#) 頑張りま~す!(#^.^#)』 (2014/01/08 16:07)