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2013/12/31(火) 第291回12月28日放送

特選句 

     残り香に酔ってあしたは別の顔              めぐ

入選句

題『 残す 』

   道造り残る予算で掘り返す                 幸二
   食べ残すことなど飢餓に見せられぬ          なごみ
   残り火が燻ぶり始め夜の雨                千恵子
   ローンだけ残して逝った父恋し               野薫
   古稀の春まだやり残すものがある             英樹
   飢えに泣いた日を知りつつも食べ残す         すみえ
   残り香を問い詰められる午前様               敏晴

                                              
題『自由吟』

    虹溶かし汚れた地球塗り直す                はな
    落葉掃き満喫出来た紅葉を                瑠璃子

                      

江戸川柳

    陰ぜんの雑煮はよほどひどい借り

    江戸川柳の前に、『陰膳』の説明です。
    古く、江戸時代以前から行われていた風習で、『旅などに出
   て、家を長く離れている人が、食べ物に困らず無事を祈って
   留守宅で供える食事』の事です。

    明治7年(1770年)『川柳評万句合』の中の川柳です。
    当時は、貸借の清算は大晦日にする、年が明けると、お盆前
   にする、という風習があり、そのように為されて、現代から考え
   ると大らかな時代でした。
    ですから、借金の返済の出来ない人は大晦日の前から姿を
   消して、正月の朝は『陰膳』のお雑煮を供えてもらう、という事に
   なり、その事を詠んだ川柳です。

    当時は連帯保証人の考えは無く、家族が払う、という事は無
   かったようです。しかし、『よほどひどい借り』は真実で、借金の
   ある人がお参りする場所があったそうです。
    逃げている本人も家族も大変だったでしょうが、世知辛い今
   の世相からみると、どこかほのぼのとした印象を持つ句ですね。

選者の一句

    やみくもに歩く 哀しみ解けぬまま               ヨシヱ

   

    ☆2月のお題は『匂い』         1月末日締切りです。
    ☆3月のお題は『魚』           2月末日締切りです。                          

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



   今回の特選句『残り香に酔ってあしたは別の顔』

    この『残り香』は、何を意味するのでしょうか?
    読む人に委ねられていますね!私などはすぐ『恋???』と
   思って燥いだのですが、それだけではなく、『良い事があった』
   『楽しい一日だった』 『美術館や映画などで心を満たした』……
   等々、様々な『残り香』がありますね。
    はあああ、そうかぁ、と、深く読めない自分に凹みましたが、
   そんな想いも今夜まで、明日は現実に引き戻されて本来の顔
   に戻る。といった意味合いの句のように思いました。
    違うかもしれませんが(^_^;)
    深いなぁ、味わい深いなぁ、と思いました。
    『あしたは』が、平仮名です。明日は、とも、朝も、あした、と読
   めるので、限定されなかったのかな、と、思いました。