▼ 2014/05/01(木) 第306回4月12日放送
■入選句
題『 鳴く 』春一番呼び込み狂い鳴く鴉 としや
人居ない古墳でそっとホーホケキョ 瑠璃子
ダイエットすると鳴き出す腹の虫 めぐ
雄鳥は鳴いてなんぼの恋路知る 恭子
母を呼ぶ子猫の声に痛む胸 佐知
鐘が鳴り二人は凛と聞いている 清香
題『自由吟』
金づるを求め近づく傍観者 翔空
鈍い手を介護の笑みが勇気づけ なごみ
嘘らしい本音 頭をかきながら 重子
■江戸川柳
使者はまづ馬からおりて鼻をかみ春になると最近では、黄砂、花粉症、PM.2.5など気を遣いますが、江
戸時代は?と調べて、少し内容は異なりますが楽しい句を見つけました
ので、ご紹介します。
『使者』は武士の事でしょう。馬が最も便利な交通方法。しかし、現在の
ように舗装された道路ではありませんから、馬で、ゆっくり歩いても砂埃が
立ちます。黄砂の春でなくても、一年中、埃で衣服や顔が汚れます。
使者は訪問した屋敷の前で、まず鼻をかんで、衣服の埃を払って、身綺
麗な姿を確かめてから、お伺いの言葉を、という事になります。
この江戸川柳が評価されているのは、使者の姿をよく観察されている点
でしょう。鼻をかむ時は人前で堂々とするのではなく馬の陰などでかむか
ら句になったのでしょう。ただ日常を写すだけではなく、観察し、クスリ、と
笑えるところが川柳の醍醐味です。
■選者の一句
春らんまん いのちの賛歌風の彩 ヨシヱ☆5月のお題は『部屋』 4月末日締切りです。
☆6月のお題は『布団』 5月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『鳥が鳴き大地が動く春が来た』
大きな句だなあ、というのがとても印象的でした。
主題は『春が来た』という喜びでしょう。思わぬ大雪が降ったり、緩んだ
かと思うとまた寒くて、春の訪れを感じる事は嬉しかったです。
小鳥たちの声が軽く響いて、『大地が動く』とは、花が咲き、川が流れ、
草木が茂る様でしょうか。春が来た!!!目の前がパアーッと広がる気
がしました。
私の印象で申し訳ないですが、小鳥の囀りの心地よさ、そして、『大地
が動く』広がり、『春が来た』と続くのが素敵でした。