▼ 2014/05/21(水) 第308回4月26日放送
■入選句
題『鳴く』雷鳴を恐がる子らの肩を抱く かほる
エサねだる時計がわりのお馴染みさん 恭子
雷鳴が弱い心を叱りつけ 英樹
引き出しを閉めると祖母が笑い出す 葵
調律を終え鶯は楚々と鳴く 敏晴
小鳥たち鳴いて廻って四季を告げ 寿
ママの腕でせかせかと鳴くレジ袋 重子
題『自由吟』
お祝に風が花びら持って来た 瑠璃子
善人の椅子に涙の跡がある 喜明
■楽々川柳
『呼名』について『呼名の時、声が小さいと言われます。自分ではそんなに小さな声では
ないと思うのですが、呼名にもコツがありますか?もし、ありましたら教え
て下さい』と、匿名希望さんからご質問を頂きました。
『呼名』というのは、川柳の大会や句会の時、入選句が発表されて、そ
の句の作者が自分の名前を名乗る、という川柳の会での取決めの事で
す。大きな大会の大きな会場でも作者は会場の席に座っていて、その席
から自分です、と名乗るのです。
句会では、この名乗りを聞いて、作者が分かるという仕組みなので、声
が聞き取れないと会の進行が中断したりします。
選者、また、脇取り(名前を聞いて、名前をくり返して作者を確認する係)
に、私が作者です、と伝える作業です。
ですから、大声でなくても、普通の声で良いのです、ただ、コツは、顔を
上げて、選者と脇取りの係の人の方を向いて、名前を名乗ること。これが
コツと言えます。つい、照れくさかったり、恥ずかしかったりして下を向いて
呼名したり、横を向いて呼名したりしがちです。
声は空気の伝導だそうです。声の大きさではなく、顔を上げる、向ける、
という事だけで随分違うそうです。
かくゆう私も最初の頃は何か気恥ずかしくて、つい下を向いたりしていた
ように思います。…今は(入った~!)と、嬉しくて身を乗り出して呼名して
いますが(^_^;)
声が小さい、と言われる方は、一度試してみてください。
■選者の一句
毒舌をスリップさせる乳母車 夏牛☆6月のお題は『布団』 5月末日締切りです。
☆7月のお題は『運ぶ』 6月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句まな板の鯉は鳴き声など出さぬ
『まな板の上の鯉』というフレーズは、川柳ではちょくちょく使われやす
いフレーズです。
しかし、『鳴き声など出さぬ』と結ばれているのには、『おお!』と、思い
ました。
想像すると怖い光景ですが(^_^;)、意味する事は『どうにでもしてく
れ!』という覚悟を現しています。この句はさらに、『鳴き声は出さぬ』と、
強められているのです。
『煮るなり焼くなり好きにしてくれ!』と目を閉じているのではなく、悲鳴
など上げるもんか!と言っているみたい。
でも、作者の方は『覚悟を決めろ!覚悟を決めたら泣き言を言わずに
頑張れ!』とエールをおくられているのかも知れません。
力強い句で、インパクトのある一句だと思います。