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2014/05/21(水) 第308回4月26日放送

特選句 

     まな板の鯉は鳴き声など出さぬ                英明

入選句

題『鳴く』
     雷鳴を恐がる子らの肩を抱く                かほる
     エサねだる時計がわりのお馴染みさん           恭子
     雷鳴が弱い心を叱りつけ                    英樹
     引き出しを閉めると祖母が笑い出す              葵
     調律を終え鶯は楚々と鳴く                   敏晴
     小鳥たち鳴いて廻って四季を告げ               寿
     ママの腕でせかせかと鳴くレジ袋               重子
                                       
題『自由吟』
     お祝に風が花びら持って来た                瑠璃子
     善人の椅子に涙の跡がある                  喜明
                                  

楽々川柳

   『呼名』について

    『呼名の時、声が小さいと言われます。自分ではそんなに小さな声では
   ないと思うのですが、呼名にもコツがありますか?もし、ありましたら教え
   て下さい』と、匿名希望さんからご質問を頂きました。

    『呼名』というのは、川柳の大会や句会の時、入選句が発表されて、そ
   の句の作者が自分の名前を名乗る、という川柳の会での取決めの事で
   す。大きな大会の大きな会場でも作者は会場の席に座っていて、その席
   から自分です、と名乗るのです。
    句会では、この名乗りを聞いて、作者が分かるという仕組みなので、声
   が聞き取れないと会の進行が中断したりします。

    選者、また、脇取り(名前を聞いて、名前をくり返して作者を確認する係)
   に、私が作者です、と伝える作業です。
    ですから、大声でなくても、普通の声で良いのです、ただ、コツは、顔を
   上げて、選者と脇取りの係の人の方を向いて、名前を名乗ること。これが
   コツと言えます。つい、照れくさかったり、恥ずかしかったりして下を向いて
   呼名したり、横を向いて呼名したりしがちです。
    声は空気の伝導だそうです。声の大きさではなく、顔を上げる、向ける、
   という事だけで随分違うそうです。

    かくゆう私も最初の頃は何か気恥ずかしくて、つい下を向いたりしていた
   ように思います。…今は(入った~!)と、嬉しくて身を乗り出して呼名して
   いますが(^_^;)

    声が小さい、と言われる方は、一度試してみてください。

    

選者の一句

    毒舌をスリップさせる乳母車               夏牛


   
    ☆6月のお題は『布団』             5月末日締切りです。
    ☆7月のお題は『運ぶ』             6月末日締切りです。


    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



  今回の特選句まな板の鯉は鳴き声など出さぬ

    『まな板の上の鯉』というフレーズは、川柳ではちょくちょく使われやす
   いフレーズです。
    しかし、『鳴き声など出さぬ』と結ばれているのには、『おお!』と、思い
   ました。
    想像すると怖い光景ですが(^_^;)、意味する事は『どうにでもしてく
   れ!』という覚悟を現しています。この句はさらに、『鳴き声は出さぬ』と、
   強められているのです。
    『煮るなり焼くなり好きにしてくれ!』と目を閉じているのではなく、悲鳴
   など上げるもんか!と言っているみたい。

    でも、作者の方は『覚悟を決めろ!覚悟を決めたら泣き言を言わずに
   頑張れ!』とエールをおくられているのかも知れません。
    力強い句で、インパクトのある一句だと思います。