▼ 2014/01/22(水) 第294回1月18日放送
■入選句
題『七』雨上がり過不足のない虹が出る 益弘
七癖を越えて人間らしくなる 重子
虹の橋往復切符亡夫を見に 瑠璃子
七輪に火をおこします恋心 清香
江戸の町お七の恋が焼きつくし なごみ
七つの子想う烏の優しい目 朝子
七色の抱負密かに期する古稀 はるママ
題『自由吟』
忘却は次のやる気を生む卵 節城
もう泣かぬ後ろも向かぬ里の駅 英樹
■川柳ヒストリー
仮説棟ながい疲れを干している 白川夜船(ヨブネ)阪神・淡路大震災から19年。震災当時の事を伝える川柳を紹介します。
今回は震災そのものではなく、被災生活を詠った句です。
作者は、大正4年(1915年)生まれの西宮市山口町の白川夜船(シラカワ
ヨブネ)さん。
平成10年(1998年)発行・全日本川柳写真年鑑の句です。
仮設住宅での生活の句です、貴重な資料と言えるでしょう。
ながい疲れを、仮説棟の物干し場に見つけた川柳眼に感服します。
震災後の生活句は、震災そのものの烈しさと違った『ながい疲れ』があ
ります。
東日本の大震災においても同様の事ですが、原発事故に隠れて震災
被害の各地の報道が少ない気がします。報道だけでなく画像、書籍等で
震災の実態、震災後の生活を伝えられたらと思います。
■選者の一句
ひとつだけ変わろう 白みかけた空 桔理子☆2月のお題は『匂い』 1月末日締切りです。
☆3月のお題は『魚』 2月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『正直をお宝にして八十年』
年の暮れ、お正月は何となく今までの自分自身の軌跡を振り返ってり
します。作者の方も振り返られたのではないでしょうか。そして、私は『正
直』に生きてきた。と、思われたのではないでしょうか。
とても素直な印象を受ける句ですが、シンプルな句の中に『正直に生き
てきた』 『正直であることを宝として生きている』 という自負のようなもの
を感じます。好きな句だなぁ!と思いました。
装飾のない句に、真っ直ぐな姿が思われてすんなりと入ってくる佳句だ
と思います。