▼ 2014/01/06(月) 第292回1月4日放送
■入選句
題『七』七人の敵も足踏み我が妻に 光子
二代目が全部引継ぐ七つ癖 幸二
お風呂場で孫がつかえる七の段 益弘
七三に惹かれ騙され共白髪 重子
七草の名前知らねど粥すする 有子
七色の声で今年は笑わそう めぐ
題『自由吟』
囲炉裏端餅を焼いてる母のこと 喜明
八十路です日々の暮らしに夢を持ち 瑠璃子
シナリオはいらぬ気ままな老いの旅 栄
■川柳ヒストリー
改まる年へ助走路掃いておく 角本華峰(カホウ)『ふあうすと川柳社』の副主幹、角本華峰(カクモト カホウ)さんの平成20年
頃の句をご紹介します。
人さまざまな思いがあります。正月だ、新年だ、元旦だ、と言うけれど、
昨日と今日、去年と今年、一日違うだけで大きな違いなど無い、と言われ
る方もおられるでしょう。
この句は、そうではなく、満足の行く新年を迎えるには、助走路が必要
なのだ。その助走路をしっかりと掃き清め、満足できる助走をして新年に
飛び立とう、と比喩的に詠っています。
具体的な助走、とは、人それぞれ違うと思いますが、年賀状の作成、
大掃除、すす払い。しめ縄飾り、鏡餅、餅つきなども。かつては『餅つき
屋』という商売もあったそうです。そして、お節料理。
人それぞれの助走があって、来る年を迎えましょうよ、と詠まれている
のだと思います。なるぼど、そうかも、と思いました。
■選者の一句
行く年に悔いなく今年余福あれ 正明☆2月のお題は『匂い』 1月末日締切りです。
☆3月のお題は『魚』 2月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『サイコロを独り振っても出ない七』
少し難しい心象句だと思います。
ですから、みな、それぞれの鑑賞をしました。作者の想いを汲み取れて
いたのか、ちょっと心配です。
でも、この句には、皆がちょっと引っ掛りました。
面白い句です。サイコロは六までしか目が出ません。だから、いくら振っ
ても『七の目』なんて出ないんだ。
目付けがすごい句です。こんな表現は見た事がありません。
『ラッキーセブンでしょ、』とヨシヱさんの鑑賞でした。可愛らしい、と。
正明さんは『今年の宝くじは七億円ですからなぁ!』と。そうかも!
皆さんはどう鑑賞されるのでしょう?私は『独り』という言葉もあって、少
し切ない感傷のように思えたのですが(^_^;)
句の一人歩き、という言葉がありますが、人それぞれの気持ちに コツッ
と響くような句だと思います。