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2013年7月の日記

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2013/07/31(水) 第269回7月27日放送

特選句 

     待たされた受話器の陰に孫の声            翔空

入選句

題『スイスイ』
     とんぼ追う祖父が一番楽しそう             もみ
     お祈りをすればスイスイ行くような           清香
     スイスイとゆかぬこの世に飽きている         喜明
     こだわりを解いてすいすい世を渡る         なごみ
     スイスイと越えた坂にも母の愛           はるママ
     助けられスイスイ楽し人生路               めぐ
     スイスイと行けた訳ではない轍          おーちゃん
                                                 
       
題『自由吟』
     ロボットを機械と甘くみた迂闊             千恵子
     夢ばかり吐いてきれいな作業服             重子
                              

川柳ヒストリー

     国論が揃うあやうさ菜種梅雨     時枝京子

  『現代女流川柳鑑賞事典』田口麦彦編 平成18年 三省堂出版の一句です。

  作者は昭和5年生まれの時枝京子です。以下作者からのメッセージです。

  「日の丸・君が代の強制から愛国心の評価、次には憲法改悪・天皇元首・
 徴兵制へ、??疑問符が2つあります。
  神風が吹くと信じた軍国少女の前歴を持つ私には『いつか来た道』への、
 きな臭い匂いが鮮明によみがえって来る。
  『日本を戦争をする国へ』の声が、国会では多数でも、主権者の国民多数
 が望んでいるとは到底信じられない。
  楽観も悲観もせず『九条を守る』草の根の一本としての想いを形にして行き
 たい」

  「戦後60年に発行された句集に収められた句として意義がある。60年という
 歳月を経過してなお、日本が歩んだ不幸な歴史を繰り返さないと言えるのか。
 ひとりの女性として声を上げたのである。作者の年代は戦争の惨禍をいやと
 いうほど目にしているに違いない。
  『菜種梅雨』とは『菜の花の盛りの頃に降る春の長雨』いわば、本格的な梅
 雨入りの前ぶれとして降る雨であり、これをかつて戦争へと向かった直前の
 様相に喩えている。」  編者・麦彦の鑑賞文抜粋

  庶民の時代を超越した変わらぬ心の句と思います。  

 
   

選者の一句

    両方に落度と言えぬ第三者            正明



    ☆9月のお題は『池』                 8月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『待たされた受話器の陰に孫の声』

  何とも微笑ましい光景が浮かぶ可愛らしい句です。
 「ちょっと待ってね…」と、電話の主。その傍から「出る~!」「ボクも~!」
 などと声がするのでしょうか。
 でも、たいてい電話を変ると小さなお孫さんは何にも話さないのですよね!
 ただ、話さなくても息遣いは聞こえる。お孫さんの姿が見える…。

  本当に可愛らしい、優しい一句と思いました!
 

2013/07/27(土) 第268回7月20日放送

特選句 

     スイスイは人生味気ないかもネ          孝一

入選句

題『スイスイ』
     リハビリのぬり絵スイスイ筆走る           重子
     スイスイと解けたクイズが図書券に           寿
     スイスイと涼しい島に泳ぎ着き             翔空
     信号をスイスイ行ける日の不安            英樹
     クラシック聞いてスイスイ仕事終え          もみ
     昔はねスイスイ泳ぎ 老いの愚痴            栄
                                       
       
題『自由吟』
     同居でも遥かに遠い嫁姑               節城
     楚々とした女が去って謎残し             喜明
     湯豆腐を食べて親子の仲直り            清香
                        

江戸川柳

     先祖まで名乗ってたった壱分借り

  250余年前の川柳です。当時の社会情勢が分からないと、理解しにくい川柳と
 思います。
  江戸幕府に仕える武士は、米によって収入を得ていました。浅草御蔵前あたり
 に旗本や御家人の扶持米(フチマイ)を幕府から代理として受取り、その米を売って
 手数料を得る『札差(フダサシ)』『蔵宿(クラヤド)』と呼ばれる店がありました。武士は
 そこで金銭を得る事になりますが、石高以上に金を借りる、という事が起こります。
 札差は金利を取って貸し、莫大な利益を得ていました。今でいうノンバンク、サラ
 金です。
  この川柳は、お金を借りに来た武士が、先祖にはこういう立派な者がいた、私は
 誰それの子孫だ、などと名乗って利息の交渉をしが、返済を考えると結局借りた
 のは『一分』だった、という句です。
  こういう、クスッと笑える川柳 私は好きです(#^.^#)
     

    

選者の一句

    ゆったりと背伸びしないで輪に入る            ヨシヱ



   
    ☆8月のお題は『だから』              7月末日締切りです。
    ☆9月のお題は『池』                 8月末日締切りです。               

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『スイスイは人生味気ないかもネ』

  『ですね!』って、つい頷いたり、納得したり。私の感想です。
  読み手の方の心状で、いろいろな感想がありました。『そうそう!』とか『う~ん、
 そうかも』とか『いい句だなあ』とか、ちょっと明るく『負け惜しみ?』等々。
  私は納得です。順風満帆な人っているのかな。
  この人、味のある話をなさるなぁ、って思うと実に様々な経験されていたり、挫
 折を乗り越えた人の言葉は深いし、ひと言が心に沁みる。…ちょっと、違うかな!
  スイスイじゃ、良いようで味気ない人生だよ!ゴツンゴツン頭打ちながら、泣い
 たり笑ったり。その方がいいよ!って句でしょうか。
  ちょっと心に引っかかる、佳句だと思います!

2013/07/19(金) 第267回7月13日放送

特選句 

     通り雨ゴメンと虹を置いていく             もみ

入選句

題『自転車』
    願わくばスイスイ君の住む星へ            千恵子
     スイスイと泳げぬ私群れの中           はるママ
     人生の迷路もスイスイ走り抜け            光子
     難問も自分操りスイスイと               清香
                                            
       
題『自由吟』
     愛されてとっても甘い玉子焼              はな
     梅雨空にモカの香りの独り部屋            喜明
     夜通しの太鼓で育つ島育ち               翔空
     地球にも飲ませてみたい解毒剤            英樹
     新しい命がタバコ止めさせた              節城
                                  

楽々川柳

   お便りコーナー
    
  途中から『雑詠(自由吟)』のコーナーが設けられましたが、雑詠が苦手で、
 一度も投句したことがありません。
  雑詠(自由吟)作句のヒント・コツがあれば教えて下さい。

  雑詠・自由吟を作る際の、コツは、あるかな?う~ん、教えて欲しいくらい
 です。
  雑詠・自由吟は作句が難しく思われますが、『ふあうすと川柳社』創始者の
 椙元紋太さんは雑詠・自由吟こそが川柳の神髄と言われていたそうです。
  紋太さんの言葉に『川柳は人間である』、がありますが、作句のヒントとして
 は、心の日記、として作句するのも手かも。心を吐く、心を詠む川柳ですから、
 日々、アンテナを張り巡らせて、という事でしょうか。
  自分なりのお題を作って詠む、という方もいますが、それは雑詠・自由吟の
 本質と違うでしょう。
  正直、先生方も私自身も苦手ですが、再度、見つめ直したご質問でした!


選者の一句

    ほっとする 長方形の夕日見て           桔理子



   
    ☆8月のお題は『だから』              7月末日締切りです。
    ☆9月のお題は『池』                 8月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。





  今回の特選句『通り雨ゴメンと虹を置いていく』

   『スイスイ』というお題で、この句は新鮮でした!通り雨はちょっと迷惑な
  もの。雨宿りしたり、あと少し、って走ったり(でも、びしょ濡れに)。そんな通
  り雨も、少し見方を変えただけでステキな川柳となりました(#^.^#)
   通り雨が過ぎた後、少し気温が下がります。ホッとしますよね。そして、空
  には虹が。
   爽やかで、目にも楽しい一句です。
   そして、『ゴメンと』という可愛い表現、『虹を置いていく』、いいなぁ!通り雨
  が擬人化されて(意地悪したけど、ゴメンね、虹、置いてくよ)って言っている
  みたいですね。
   

2013/07/08(月) 第266回7月7日放送

特選句 

     町工場自慢の技が世界翔ぶ              栄

入選句

題『スイスイ』
     永田町スイスイ泳ぐ七光り           おーちゃん
     独身の身軽さですよスイスイと            清香
     意見無用スイスイ泳ぐメタボ腹           なごみ
     スイスイと半年あっと過ぎてゆく            孝一
     子のもとへ伝言のせて雲が行く            もみ
                                            
       
題『自由吟』
     ホーホ蛍三脚立てて待ってるヨ            めぐ
     願いこめピンピンコロリ短冊に              寿
     疑いが晴れて茶漬けが出る夜更け         重子
     紫陽花の葉っぱにチョコン雨蛙            節子
                                  

楽々川柳

   お便りコーナー

  寄せて頂いたお便りを時間の限り紹介させて頂きました。
  みっきぃ賞受賞の英明さん、おーちゃんさんがお便りを寄せて下さいました。
  英明さんからは受賞の『大粒と小粒の涙使い分け』をもじって
  『大粒の涙に咽ぶみっきぃ賞』と頂き、楽しかったです。
  また、おーちゃんさんからご質問を頂いたので、来週、質問コーナーでお答え
 させて頂きます。
  皆さま、ありがとうございます!とっても励みになります!


  めぐさん、放送ではご紹介出来なかったのですが、『お便りコーナーの読
 み方上手です』と頂いて、ありがとうございます!また、『イギリス旅行良か
 ったですね』きゃあ―!嬉しい!ありがとうございます!愉しかったですぅ!!!



  兵庫県川柳協会主催の『川柳祭』(今年はin篠山です)の事前投句募集
 ご案内をしました。

  事前投句締切   平成25年9月14日(土)(当日消印有効)
  課  題        『黒豆』 『守る』 『屋敷』    各題一句
  応募料       1,000 円(郵便定額小為替を句稿に同封して下さい)
  応募先       〒669-2205 篠山市網掛429
              篠山市立中央公民館  兵庫県川柳祭篠山市実行委員会宛

 ※お問合せ先    兵庫県川柳祭篠山市実行委員会事務局
              篠山市立中央公民館
              ☎ 079-594-1180  FAX 079-594-1174

  是非、ご参加くださいませ!



    

選者の一句

    枕木に小雨 遠いなあ故郷            敏子



   
    ☆8月のお題は『だから』              7月末日締切りです。
    ☆9月のお題は『池』                 8月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『町工場自慢の技が世界翔ぶ』

  不景気、と言われ続けて、日本の景気も方向も不安材料が山積み状態です。
  でも!しかし!です!日本の小さな町工場での熟練された技術が世界の至る所
 で生き、必要とされているそうです。凄いですね!日本の、熟練工と呼ばれる人々
 の、ロボットには真似の出来ない『技と勘、技術』!あああ!カッコいい!!最後は
 熟練した技なんですね。熱くなりましたが(^_^;)この句の『世界翔ぶ』が素敵です。
  力強い句を特選を選ばせて頂きました。

2013/07/03(水) 第265回6月29日放送

特選句 

     嫁に行く気も有り無しの曲り角           千恵子

入選句

題『自転車』
     自転車の荷台で君にしがみ付く            朝子
     ママチャリのママの背中に甘える目       はるママ
     ペダルこぎ青春してるまだ六十            恭子
     自我芽生えママもてあます三輪車         なごみ
     補助輪が取れてボクちゃん青空へ          喜明
     お下げ髪靡かせ少女ペダルこぐ           光子
     人生も自転車乗りの要領よ              清香
                                            
       
題『自由吟』
     もう少し力を抜けと昼の月               英樹
     大丈夫医者の口出る重い嘘              節城
                             

川柳ヒストリー

     老いて子に従うことを肯ンぜず   井上剣花坊(ケンカボウ)

  新川柳と唱えて、江戸時代からの川柳の革新を目差した井上剣花坊(イノウエ
 ケンカボウ)の大正12・13年頃の句です。
  老いて子に従う、などという事に甘んじたりしないぞ。
  『老いては子に従え』と教えられる一方で、大正ロマン、新時代を謳歌する
 時代でもあった大正時代。剣花坊自身、新川柳運動を唱え、活動した人でし
 たが、この句には当時の若い人の新しい時代を背負う意気込みが込められ
 ています。
  剣花坊53・54歳頃の句です。   

    

選者の一句

    四季ごとの風景映えて稲文化            正明




    ☆8月のお題は『だから』              7月末日締切りです。
    ☆9月のお題は『池』                 8月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『嫁に行く気も有り無しの曲り角』

  この「曲り角」は、何歳の事?と、先生方と話題になりました。女には(男も?)
 曲り角なるものがあるらしく、ドラマや小説の題材に事欠かないわけですが、
 母親の娘に対するこもごもの思いが伝わってきて、川柳らしい一句だと思い
 ます。
  親としては、けっこうな悩みなのですが、当人はどこ吹く風。もう、どうするの?
 って気持ちが軽快なリズムで(ふふ)って笑って、同感、同感、と、納得したり。
  切実ですが、楽しい言い回しの川柳らしい一句ですね!