■入選句
題『だから』冷めました だから別れて今一人 清香
写真焼くどうせ叶わぬ恋だから 英樹
会議中だからと割り込む古狸 寿
目立ちたい出る杭だから叩かれる 千恵子
「兄ちゃんだから」言いすぎ長子ダメにする 氷筆
満ち足りた日だから明日も頑張れる なごみ
題『自由吟』
とんぼりのグリコが走る飽きもせず 喜明
■川柳ヒストリー
総選挙また鉄道でだますのか 亭々子(テイテイシ)七月二十一日、参議院選挙がありました。今回の選挙からネットが解禁
となり、選挙戦が変化するだろうと報道されました。
明治25年(1892年) 121年前、帝国議会衆議院の2回目の総選挙の時の
川柳です。
出典は、読売新聞社『川柳二百年/川上三太郎 編』、作者は『亭々子』で
す。明治25年の川柳が生き返ったのです。
明治23年11月、第1回総選挙に当選した議員は、1年余後解散、第2回
総選挙となったのですが、『鉄道でだますのか』というは、当時、予算の為の
法案が不十分で多額の剰余金が生じ、その使途に『この地方に鉄道をひく。
駅を造る』という利益誘導の政策で票を集めた、という句です。
百余年前の川柳、ですが、現代も納得の川柳です。
■選者の一句
高齢を現役並みと褒め言葉 正明☆10月のお題は『祭り』 9月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『好きだから許しています あの事も』
一見、優しい女性の句、のように思えるのですが…。
ようく噛み締めて読んでみると、むむむ、なかなか怖い句ではないでしょうか。
『あの事も、って、何だい?』 『あの事よ』 (どの事だろう?) と考えてもヘ
タな事は言えない。ドギマギする男性とにっこり微笑む女性の姿が浮かぶよう
な…。もちろん、目の奥は探るような(^_^;)
でも、許しているんですもの!良いじゃないですか!女性の勘の鋭さは侮れ
ません。でも、許してるんですから。
少し、ゾッとして、少し可愛い女心を詠んだ句ですね!