■入選句
題『涙』今日巣立つ牛の瞳に光るもの なごみ
嘘泣きの涙乾いた音がする おーちゃん
逆転に涙する日よ早く来い 俊博
傷心の涙を隠すアイシャドー 和喜
ごめんねと涙の頬をそっと撫で 正子
涙声 尖閣諸島声がする 清香
題『自由吟』
何かしら明るい日ざし春の声 めぐ
恋破れ鞄一つの風の駅 (小野市)英樹
棚の上もの言わぬ荷の一つあり 翔空
■川柳ヒストリー
雨よりも幸せ風に散る桜 渡辺蓮夫(ハスオ)昭和51年(1976年)から「川柳研究」の代表となった渡辺蓮夫の句です。
桜の花は、雨や風のあと散るもの。桜が雨で散る時、風で散る時に着眼し、詠
まれた一句です。
「川柳全集/構造社出版」の中に書かれた川柳考を紹介します。
『たとえばどんな絵を描いても、絵とはそういうもの、とは言われない。たとえば
どんな小説を書いても、小説とはそういうもの、とは思われない。ところが、川柳
が艶笑や皮肉を書けば、川柳とはそういうものと思われる危険が未だにある。絵
や文学と川柳への一般の理解の程度の差である。』
『あなたが日記を書くとすれば、誰にも読まれなくてもいい文字を綴ろう。だが、
あなたが随筆を書くとすれば、人に読ませるような文字を綴ろう。自分だけわかれ
ばいいものには、文学の意識はない。日記川柳を書くか、文学の川柳を書くか。』
『川柳は詩である、の意識を持っていないと川柳は崩れる。川柳は詩である、と
思い込んでしまうと、川柳は狭くなる。』
■選者の一句
勝ち力士明日の新聞写真かと 正明☆5月のお題は『切る』 4月末日締切りです。
☆6月のお題は『自転車』 5月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『パソコンの合格通知涙出ず』
少し時事川柳のような風合いの川柳です。
パソコンや携帯メールで頂く『合格通知』は、何となく無機質で『ああ!良かった!
おめでとう!』とは思っても、涙は出てこない。そこには声の抑揚も高まりも無いか
らでしょうか。
私は、この合格通知は、大学の合否のパソコンで確認している姿が思い浮かび
ました。最近はパソコンでわかるそうです。『合格』の受験番号が見つかっても「お、
やった!」と、小さくガッツポーズ…。『不合格』には冷たい時間が流れそう…。現在
社会の一面を詠まれた句だなって思います。
1: ようこそ川柳広場へ 『なごみ様 おはようございます!いつもありがとうございます。 すみません、ブログの入選句、『牛の瞳』でした、訂正しました。m(_...』 (2013/04/05 8:50)