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2013/03/11(月) 第248回3月2日放送

*特選句 

     もう武器にならぬ涙は胃に落ちる          すみえ

入選句

題『涙』
     虚と実のたっぷり涙使い分け            千恵子
     お別れと涙でつづる昭和歌謡             俊夫
     旅立ちに涙見せまい空を見る             正子
     勝って泣き負けては涙スポ根性             好
     子のための涙の跡は見せられぬ          なごみ
                              
       
題『自由吟』
     雪道もすべらないよう工夫する      (三木市)英樹
     好きなのとそっと告白歌に乗せ            エリ
     
                     
 

川柳ヒストリー

      膝の子の重さに足りて夜の父      前田雀郎(ジャクロウ)

   幼い我が子を膝に抱いて、幸せを感ずる父親の心境を詠んだこの句は、引用
  の本にはありませんが、雀郎30歳代後半の句と思われます。雀郎は、大正3年
  に『狂句』のグループに入り、貿易商社に勤めたあと講談社に入社、川柳欄担当
  を手伝い、新川柳運動家の阪井久良伎(クラキ)、井上剣花坊、また吉川雉子郎
  (のちの吉川英治)と知り合い、26歳の時、都新聞へ移り、川柳壇選者となり、
  川柳の啓蒙につくしました。     
 

選者の一句

    ips命を繋ぐ世界の輪         ヨシヱ


    ☆4月のお題は『茣蓙』                2月末日締切りです。
    ☆5月のお題は『切る』                3月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。


  今回の特選句『もう武器にならぬならぬ涙は胃に落ちる』

  女の涙が武器云々の句は、ちょくちょく見かけるのですが、『胃に落ちる』とは、
 面白い表現ですね!放送の時もいろいろな受け取り方がありましたので、解説
 のような事は書かずにおきます。全体のリズムも語呂も良く、すんなり入ってきて
 おきながら、最後の『胃に落ちる』でドキッとさせられました!
  本当に、すごい句だと思います。

2013/03/11(月) 第247回2月23日放送

特選句 

     落椿亡母は文箱の底で燃え             重子

入選句

題『炎(ひ・ほのお)』
     怪気炎あげて戦くクレジット              英明
     どんど焼き昔懐かしへそ団子             俊博
     地が裂けて私の長田炎上し           はるママ
     暗がりに炎が恐い羅生門               翔空
     遺言も燃やして見れば炎だけ             清香
                              
       
題『自由吟』
     母さんが逃げ道くれた少年期             正子
     新年も花粉の便り春の音                めぐ
              

江戸川柳

      めいめいに褒めて引込む冬の月

    寛政7年か8年(1795年か1796年)出版の柳多留26篇の川柳です。
    外気の寒い冬の月は『寒の月』と句にされてはいますが、春や秋に比べて鑑
   賞され難いようです。
    この句は、『いい月だねぇ』と言って美しい月を眺めても、寒いので、すぐ部屋
   の中に引っ込んでしまう、そんな様子を少しコミカルに詠んでいます。『そうか、
   じゃ、俺も』と鑑賞するが、やっぱりすぐ引っ込んでしまう。でも、寒いから、とい
   って月を見ないで過ごすのではなく、いいお月様だ、と言って、一度は外へ出る
   所が嬉しいです。


選者の一句

    マスコミが世論醸成する社会         正明


   
    ☆3月のお題は『涙』                2月末日締切りです。
    ☆4月のお題は『茣蓙(ござ)』           3月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



  今回の特選句『落椿亡母は文箱の底で燃え』

  亡きお母様の文箱の底には、何があったのでしょうか。恋文?誰かからもらった
 お手紙でしょうか?それとも出せなかったお手紙でしょうか?
  『文箱の底で燃え』という表現は秀逸だと思いました!