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2014/04/04(金) 第303回3月22日放送

特選句 

     滝登る鮎に拍手の応援歌                氷筆

入選句

題『匂い』
     魚捌く妻の手先にある殺気                 英樹
     半身ずつ分けて満足 老いの皿             なごみ
     軽く見て雑魚にもあった太い骨              かほる
     話すたび逃げた魚が肥大する               海童
     魚好き猫もあきれる食べっぷり               めぐ
     キリストのようなかたちの一夜干し         おーちゃん

題『自由吟』
     春はそこ梅の蕾とお出かけよ              瑠璃子
     貼り換えた障子が怯える孫の指              敏晴
     手作りの帽子キラリと自己主張              恭子
                            


川柳ヒストリー

     妻と母終えて女の夢ひろげ        みぎわ はな

    今回ご紹介する句は、現在も活躍中の女流川柳作家 みぎわはな
   さんの句です。

    『妻と母終えて』とあります。そして、『女の夢ひろげ』と。色々とあっ
   た。凹んでなんかいられない。その年齢の女性の活躍を高らかに詠み
   上げています。
    数年前に発表された句ですが、はなさんは昨年11月、川柳句集『雪
   月花/新葉館』を出版されています。約900句が収められています。

    書家としても活躍され、1987年、シンガポールの日本人基地公園の
   門標の手本を書いたり、九谷焼の陶芸家と二人展を開かれました。

    川柳を始められたのは平成10年です。転勤族で、ホトトギス俳句の
   句会、九年母の俳句の会などに参加、句作りの愉しさを学ばれたのち
   県文化人交流会で『ふあうすと川柳社』同人と同席した事が川柳との
   出会いだったそうです。
    現在、『ふあうすと川柳社』同人です。


 
 
          

選者の一句

    光線のいたずら大きな影が出来            正明


 

    ☆4月のお題は『鳴く』           3月末日締切りです。
    ☆5月のお題は『部屋』           4月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



   今回の特選句『滝登る鮎に拍手の応援歌』

    流れ落ちる滝を跳ね上がるように登って行く鮎。

    鮎は、稚魚期を海で過ごし、初春に川を遡って急流に住む魚ですが、
   遡上の様子はテレビでしか見た事がありません。
    もし、目の当たりに観たら『おお~!』と声が出て、その姿に驚き、思
   わず拍手してしまうんじゃないかと思います。
    滝を登る様子は見た事がありませんが、急流を反対に、流れに逆らっ
   て泳ぐ様子は見た事があります。『すごい!』と、その時でさえ思いまし
   た。

    この句は、その様子を詠っているだけでは無いのでしょう。
    何時の時代も若い人にとって生きにくいのが社会なのかも。そんな時
   代の流れに逆らい、遡上する鮎のごとく、現代の若い人への応援歌とも
   思えます。