▼ 2014/03/30(日) 第302回3月15日放送
■入選句
題『 匂い 』孫たちが寿司屋で学ぶ魚へん 俊博
釘煮炊く匂いが春を連れて来る はるママ
切り身なら焼けるし炊ける若いひと 朝子
国産魚海に国境などはない おーちゃん
スーパーのまぐろ解体買っちゃった 有子
金魚鉢けれど私は飼われてる 清香
題『自由吟』
ソチ五輪精一杯に拍手する めぐ
新婚へ義母が長居をして困る 海童
語り部の背中しんしん雪のふる 喜明
■江戸川柳
御落馬をいそがしい場で数えて居今回の江戸川柳は『平家物語』の中の、戦乱の一場面を面白く詠んだ
句です。なので、史実をよく知っていないと楽しめません。
『落馬』に『御』が付いているので、貴人の落馬を意味しますが、句その
ものの意味は、戦乱中、忙しい時に貴人の落馬の回数を数えていたそう
だ。あらまあ…。という感じだと思います。
落馬したのは以仁王(モチヒトオウ)で、平氏討伐の令旨を発した方です。
この令旨のもとに源頼政が挙兵をしますが、平氏の激しい攻めにあって
以仁王は馬に乗って退却します。しかし、平素は乗馬する必要のない以
仁王は、六回、落馬した、と書かれています。
すわ、退却だ!急げ!といった緊迫した状況で(六回落馬された)と、
回数を数えていた…。
江戸時代の川柳人はこの話を知っていて、この句を発表し、この句の
機知を喜んだのでしょう。何だか、江戸時代の川柳人の知的な遊び感覚
にハッとさせられる気がしました。
■選者の一句
春うらら遊び上手の輪に入る ヨシヱ☆4月のお題は『鳴く』 3月末日締切りです。
☆5月のお題は『部屋』 4月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『竿先がぴくんと揺れる息止める』
『魚』というお題で『釣り』の句は幾つかありましたが、この特選句の
ように、その瞬間を切り取った句は無く、波の煌きや川の音、驚きと
期待、そんな風景や気持ちが伝わってくる佳句だと思います!
私は釣りは一度しかした事が無いんですが、初めてヒットした時の
事をとてもよく覚えています。(あ!あ?これかな?)正に『竿先がぴ
くんと揺れ』て、『息止める』感じでした!
川柳は十七音字のドラマ、と言われています。
あの夏の日を思い出しました。(*^_^*)