▼ 2013/06/27(木) 第264回6月22日放送
■入選句
題『自転車』ガソリンを気にせず悠々ツーリング めぐ
補助輪をとって得意な顔がある もみ
川沿いを走る銀輪 夏感じ 孝一
パンクした自転車押して日暮れ坂 おーちゃん
ペダル踏み止めれば夜逃げもう必至 節城
初恋は自転車通学女学生 有子
題『自由吟』
風渡る橋の向うで旅おわる 喜明
線香の煙たなびく山の寺 翔空
賑やかにポックリ寺へ着飾って 光子
■江戸川柳
するが町(チョウ)とあるのが わたしが傘梅雨の季節、傘にまつわる江戸川柳をご紹介します。
番傘は、広辞苑には『紙張りの粗末な雨傘』と書かれています。蛇の目傘
は、元禄時代から用いられ、主に女性が利用し、高級感のある色が塗られ
ています。
さて、するが町に『越後屋三井呉服店』という大店がありましたが、この店
では雨の日にお客に『するが町』と記名した番傘を貸し出していましたが、こ
のサービスで借りた番傘を、返さないまま自分の傘として使っている人がい
るよ、という内容です。『そこの、するが町と書いた傘が私の傘だ、取っておくれ』
くす、っと笑える川柳です。
■選者の一句
追伸の逢いたいねえになぜ揺れる ヨシヱ☆7月のお題は『スイスイ』 6月末日締切りです。
☆8月のお題は『だから』 7月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『自転車を漕げば十五の風に会う』
自転車に乗って漕ぎ出せば、自転車を乗り回していた、何処へ行くにも自転車
で走り回っていた十五歳の頃の風を感じる。
分かる気がします!本当にそうでした。小学生から高校生くらいまで、何処に
行くにも自転車でした。今、この年齢になっていても、あの頃の自分を感じる、あの
頃の『風』を感じる。
『風に会う』というのは、本当に素晴らしい表現だと思います。放送では、「十五歳
の時に素敵な想い出があってのかしら!」なんて言ってしまいましたが(^_^;)
清涼感のある一句だと思います。