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2013年5月の日記

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2013/05/27(月) 第260回5月25日放送

特選句 

     からみつく縁を切って五月(サツキ)空          恭子

入選句

題『切る』
     不景気が無難な道に舵切らせ            有子
     おかめだが切り盛り上手くすぎた嫁        千恵子
     あふれる程の愛を注いで裏切られ         すみえ
     どの親も分かり切った小言言う            清香
     塔婆の木一本切って森を出る             野薫
     生き下手が切り取り線でまた迷う           英樹
                                       
       
題『自由吟』
     三本目そろそろ舌が縺れ出し            なごみ
     見舞客の足音春をたずさえて             重子
     もう飼わぬ言うてはったが犬の声           朝子
                             

川柳ヒストリー

     少なくていい訳はない所得税   野村 圭祐(ケイスケ)

  野村圭祐は、東京都立川市にある、川柳きやり吟社(大正9年4月創立)の
 主幹を昭和45年(1970年)から引き継いで勤めています。
  川柳きやり吟社は村田周魚ほか2人、合計3人で創立、周魚31歳の時です。
  関東大震災で一時休刊しましたが、一年余り後に復刊、周魚が主幹となり、
 圭祐は6年後の昭和15年にきやり吟社に入っています。
  周魚の川柳への姿勢の第一のものは『家庭が第一、川柳はその次』です。
  この川柳は、『所得税は多く納税する方が、家庭に、家計にいいのだ』との考
 えから作られたのでしょう。

  消費納税の日が近付きました。納税を詠んだ51年前の句を紹介しました。
   

    

選者の一句

    虚も実も背負うて渡る虹の橋            ヨシヱ



   
    ☆7月のお題は『スイスイ』             6月末日締切りです。
    ☆8月のお題は『だから』              7月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『からみつく縁(エニシ)を切って五月(サツキ)空』

  からみつく、縁(えにし)とは、どういうものでしょうか?作者にとって、どのよう
 な縁なのかはわかりませんが、からみつく、ですから、頭の痛い問題なのでしょ
 う。いつも頭を悩ませる問題というのは誰にでもあります。
  五月の空はスッキリとして、美しい。
  どの様な状況で見上げた五月の空だったのか、私は願望のように思えたので
 すが、ちゃんと切れて、スッキリして、見上げた空、とも読めるかもしれません。
  読み手に任されるのでしょう。
  また、時事川柳と考えると、今の政権を詠った句、と言えそうです。

2013/05/19(日) 第259回5月18日放送

特選句 

     赤い糸切ってあなたは空の上             もみ

入選句

題『茣蓙』
     テープ切るたった一度の幼き日             栄
     雲切れて悲しみも解け五月晴              寿
     もう逢わぬ覚悟でおんな髪を切る         なごみ
     髪切って未練の失せるものでなく           朝子
     二番手が切り札もっている焦り            重子
     一晩で読み切りました新刊書             清香
                                  
       
題『自由吟』
     終活は妻子のために意志残し            孝一
     よもぎ餅明治の母の味楽し              翔空
     幾つもの秘密も有っていい夫婦          千恵子
                        

江戸川柳

     笠三つ見へて恋しく一首よみ

  遣唐使 阿倍仲麻呂を詠んだ江戸川柳です。
  阿倍仲麻呂の有名な和歌
   『天の原ふりさけ見れば春日なる
       三笠の山にいでし月かも』 
  この和歌の作られた動機は、きっと、唐の国で船頭さんがかぶっている笠
 が三つあるのを見て、三笠山を連想し、故郷を思う歌が出来たのだろうと、
 詠んだ川柳人の、想像力を伝える句です。
  阿倍仲麻呂は遣唐使として唐に渡り、帰国に失敗して唐の国の高官を歴
 任し、没しています。李白、王維らとの親交があった事が知られています。
  この川柳、笠三つ、恋しく、から、仲麻呂の『天の原ふりさけ見れば…』の
 和歌が思いつかないと、ああ、いい川柳だ、と言われないでしょう。
 時代、環境を越えた川柳人の句作りと鑑賞眼をみる句といえます。
   

    

選者の一句

    四島の晴れて嬉しい時を待つ             正明



   
    ☆6月のお題は『自転車』              5月末日締切りです。
    ☆7月のお題は『スイスイ』             6月末日締切りです。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。




  今回の特選句『赤い糸切ってあなたは空の上』

  赤い糸。切って。…空の上。これらの言葉でいろんな事が伝わって来ます。
 とても素直で切ない一句だと思いました。詠まれた方の心情がするっと入って
 来て、心に響きました。
  見上げる空は澄みきった青空のような気がしました。美しいけれど、とても
 切ない一句です。
  川柳六大家の一人、椙元紋太さんは、難しい言葉を使わず、平らかな優し
 い言葉で川柳を作るべき、と言われていたそうですが、私が目指したい川柳
 の形です。

1: なごみ 『はあ~い今聞いてました、放送圏外にいてもPCでラジオ聴けるのってうれしいです。 これからも楽しい放送をおまちしてます。 みなさん...』 (2013/05/25 9:30)

2: 桔理子 『なごみさん、いつも番組を聞いていただき、ありがとうございます! 放送圏外でも、インターネット放送で聞いていただけますので、どしど...』 (2013/05/27 23:00)

2013/05/14(火) 第258回5月11日放送

特選句 

 
     けんめいに咲いているから切らんとこ            恭子

入選句

題『切る』
     花咲かす自慢と愚痴は切りすてて           ゆきこ
     告白の出来ない奴は切って捨て              はな
     切った糸もつれ糸には悩まされ              清香
     人を切る手練手管の社長さん               野薫
     百円の玉子で並ぶ切れ間なく               めぐ
     嫁いだ娘の愚痴を吸い取り切る電話        はるママ
     
                                                   
題『自由吟』
     ライバルに貰った刺激噛みにくい            なごみ
     いい言葉ひとつ拾って晴れたウツ            かほる

楽々川柳

   『お便りのコーナー』
    皆さまから頂いたお便り・コメントをいくつか紹介させて頂きました。
    温かい励まし、川柳への思い等お寄せ下さり、ありがとうございます!
    

        

選者の一句

    しがらみを脱いで異国の風に会う          桔理子



  
    ☆6月のお題は『自転車』             5月末日締切です。
    ☆7月のお題は『スイスイ』            6月末日締切です。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



  今回の特選句
 

 
  『けんめいに咲いているから切らんとこ』

 
   どこに咲いているお花なのでしょうか?道端に咲いているお花でしょうか。
   それとも、庭の雑草でしょうか?庭の草取りをしていて、引っこ抜こうとした
  雑草も可憐な花を咲かせていた、のでしょうか?
   私は『切らんとこ』と、あるので、育てたお花ではないかと思いました。庭に
  咲かせたお花を切って、お部屋の一輪挿しなどに活けようと思ったのだけど、
  『けんめいに咲いているから』切らないで…このまま…。そう思われたのじゃ
  ないかと思いました。
   これは、私の『句のひとり歩き』、間違っているかも!でも、どのシチュエー
  ションだったとしても、作者の方の目線の優しさが伝わって、とっても素敵な
  一句だと思いました。言葉選びも柔らかく、心にスッと入って来ました。

2013/05/07(火) 第257回5月4日放送

特選句 

 
     美容院まだ迷ってる切る止める             有子

入選句

題『切る』
     猿之助心の艶で見得を切り                節城
     あとひとり こんな所で時間切れ             千恵子
     縁切った若気の至り深い溝                  寿
     手のひらの豆腐を切って母になる             もみ
     窓際で首をさすって待つ辛さ                喜明
     職場でも家でも僕は切られ役            おーちゃん
     
                                                   
題『自由吟』
     ペア靴下 梅見の客の春の色               俊夫
     化粧してさあ出発と電車降り                 栄


楽々川柳

    質問にお答えしました!
    『一時「真っ新」という言葉が流行のように各句会で使われていましたが、あ
    る人が最高の賞を取られた時に使われた言葉です。誰が使ってもいいので
    しょうか?』

    誰が使っても構いません。
    川柳は十七音字の短詩文芸ですから、差別用語・切れ字以外は、賞を取ら
   れた時の言葉であっても使う事の規制はありません。ただし、同じシチュエー
   ションで使用されると盗作の危険がありますから、注意しましょう。
    賞を取られた時の言葉はインパクトがあって使いたくなるものですが、賞を取
   られたのは全体のバランス・リズム・深さ等々、それらが合わさって受賞された
   わけですから、同じ言葉を使う時は、その句を離れて、自分のものにしてから
   使うべでしょう。    

        

選者の一句

    呱呱の声名残の月と聞く至福           夏牛


   
        ☆6月のお題は『自転車』             5月末日締切です。
        ☆7月のお題は『スイスイ』            6月末日締切です。

    ☆なお『自由吟』は随時、募集しています。



  今回の特選句『美容院まだ迷ってる切る止める』
 
   ああ、分かる!実感句!女性は経験のある方は多いのでは?もう鏡の前に
  座っていても迷ってる姿が思い浮かびますが、それだけではなく、『切る 止め
  る』には、深い意味が含まれている様な気がします。髪の長さだけでなく、たと
  えば恋、とか。
   女性は迷うのです!もちろん、男の人も迷う事はあるでしょうけど、女はもの
  すごく、迷うのです。いろんな場面、心の動きなどが想像されたりします。
   楽しい、だけでなく、もっと深いものを感じさせる句だと思います。