▼ 2013/09/28(土) 第278回9月28日放送
■入選句
題『 池 』澄んだ池時を忘れて話が思い めぐ
木の葉落ち水面の揺れる不確かさ 朝子
大海へ泳いでゆけぬ池の鯉 栄
その昔落とした夢をさがしてる 令子
電池切れ化学作用の恋でした 清香
温暖化凍り忘れた池の水 英明
題『自由吟』
乾杯のビールで満ちる女 古稀 重子
起きるにも寝るにも半端午前四時 千恵子
退院日千羽の鳩が舞い上がる 英樹
■江戸川柳
水鳥の明日食うものは明日流れ『明日は明日の風が吹く』
江戸の庶民は『宵越しの銭は持たぬ』とよく言われていましたが、その
気風を『水鳥』に託して詠まれた句と言われています。
『水鳥の明日、食べる餌は、明日(川の中に)また、流れてくるさ』
広辞苑の『宵越し』の説明の後に小林一茶の『宵越の豆麩(トウフ)明り
になく蚊哉』を載せて用法の例としています。
小林一茶は、この句の出た5年後に信濃から江戸に出てきました。
江戸庶民は幕府の保障など無い時代でしたが、明日食う事の心配は
していなかった、大らかさを知る川柳です。
■選者の一句
新しい平和地球は今築く 正明☆11月のお題は『写す』 10月末日締切りです。
☆なお『自由吟』は随時、募集しています。
今回の特選句『ちっぽけな池にもたんと絶滅種』
奥まった山の中の小さな池でしょうか。環境破壊の進む昨今、こんな
小さな池の中の生き物、また、その周りの水草などにも、たくさんの絶
滅種がある事だろう。
『ちっぽけな』と『たんと』という表現の対比が面白いですね!
たった17音字に技巧が凝らされていて、私の好きな句です。
奥まった池でなくても、すぐ目にする小さな池にも絶滅種、いっぱいい
るのじゃないでしょうか?考えさせられてしまいます。